2020年5月の満月を撮る
-2020年地球に3番目近い月-


4月こと座流星群は新月にもかかわらず悪天候でダメ、みずがめ座η流星群は明るい月に邪魔されて撮れずと、今春は星空撮影には恵まれなかった。
その代わりに、久しぶりに満月の出を撮影した。
冬と違って春は、黄砂や春霞のためすっきりとした月の出が撮れる機会は少ないので、貴重だ。

先月、4月8日の満月は2020年で地球に最も近い満月だった。
地球からの見え方で言うと一番大きく感じる、所謂「スーパームーン」。
日本時間で4月8日11時35分に満月となり、このときの地心距離は約35万7000kmだったが、あいにく日本では昼だった。
今年で2番目地球に近い満月、つまり大きく見える満月は3月10日で、それに次ぐ3番目に地球に近い満月が5月7日だった。
このときの地心距離は約36万1000km。

月は地球の周りを公転しているが、太陽と地球などの重力の影響を受けて楕円軌道を描く。そのため地球の中心と月の中心の距離、すなわち地心距離はたえず変化している。
2020年の満月はこのあと少しずつ地球から遠ざかり、10月31日に地球から最も遠い満月を迎える。つまり地球から見て2020年で最も小さい満月ということになる。






満月の出(金生山)

まだ夕方の明るさの残る金生山から月の出を撮る。
この日は春には珍しく空気が澄んでいて、猿投山から月が出る様子が見られた。
大気の揺らぎのため赤く歪んだ満月。
満月の直下、やや左に墨俣城の模擬天守が見える。
なんと言うことのない月の出、普段は星を見るのに邪険にされる月だが、今宵は感謝。

5月7日18時36分。
α7RM2 + E 70-350mm F4.5-6.3 G OSS。






満月を横切る飛行機(金生山)

新型コロナウイルス感染症の関係で航空機が減便されて、星空を撮っていても飛行機の識別灯に邪魔されないことが多いように感じるこの春。
月の出直後の満月を飛行機が1機横切った。

5月7日18時43分。
α7RM2 + E 70-350mm F4.5-6.3 G OSS。




同上のトリミング画像




さて、国際天文学連合(IAU)や日本の国立天文台から懸念表明がなされている、巨大通信衛星ネットワークを構築する膨大な数の人工衛星群の悪影響。星空を見る環境は悪化の一途をたどっている。
地上から空に向けて放出される光害(ひかりがい)の影響も含めて、昔はこんなにも星が見えたんだよと昔話のように話す時代は既に来ているのだ。残念なことだ。
「スターリンク衛星群」や「国立天文台 懸念表明」で検索してみて欲しい。